漸化式と母関数 ― 数列を「関数」にすると何が見えるか
母関数は数列の「名刺」です.掛け算が畳み込みになること,フィボナッチ数列の閉じた形(ビネの公式)が母関数から自然に導かれることを解説します.漸化式を解く強力な手段としての母関数を体験してください.
漸化式を立てたはいいものの,一般項が求められない ― そんな経験はありませんか? 母関数(generating function)は,数列を1つの関数にまとめることで,漸化式を「代数方程式」に変換してしまう魔法のような道具です.
1 母関数とは ― 数列の名刺
2 基本的な母関数
3 掛け算=畳み込みの意味
母関数の最も強力な性質は,積が畳み込みに対応することです.
4 フィボナッチ数列の母関数
母関数を漸化式から求めましょう.
5 ビネの公式 ― 母関数から一般項へ
を部分分数分解します.と因数分解すると(ここではの根),
部分分数分解と等比級数展開から,
6 漸化式を解く手段としての母関数
母関数による漸化式の解法は,以下のパターンに集約されます:
漸化式の両辺に を掛けて和を取る
既知の母関数 について代数方程式を立てる
を閉じた形で求める
部分分数分解や既知の展開を使って係数 を読み取る
7 まとめ
母関数は数列を形式的べき級数にまとめたもの(数列の「名刺」)です
母関数の積は畳み込みに対応し,多段階の数え上げを自動化します
フィボナッチ数列の母関数は で,ビネの公式が導かれます
漸化式を代数方程式に変換して解くのが母関数の基本戦略です
次の記事では,母関数から自然に現れるカタラン数の不思議な遍在性について解説します.