フェルマーの小定理はなぜ成り立つのか ― 剰余の世界の「対称性」
(Z/pZ)* の群構造からフェルマーの小定理を導き,a^{p-2} が逆元になる根拠を明らかにします.集合 {a, 2a, ..., (p-1)a} が {1, 2, ..., p-1} の置換であることの直感的な理解を中心に解説します.
フェルマーの小定理は,整数論で最も頻繁に使われる定理のひとつです.「が素数でなら」― この簡潔な主張の背後には,剰余の世界の美しい対称性が隠れています.
1 フェルマーの小定理の主張
2 集合の置換 ― 証明の核心
3 の群構造
フェルマーの小定理を代数的に理解しましょう.
閉性: かつ なら
結合律:整数の乗法の結合律から従います
単位元:
逆元:拡張ユークリッドの互除法(前回の記事)で計算できます
4 が逆元になる理由
5 競プロでの mod 逆元
フェルマーの小定理: を繰り返し二乗法で で計算
拡張ユークリッドの互除法: で計算(定数倍が小さい)
6 オイラーの定理への一般化
7 まとめ
フェルマーの小定理: が素数, のとき
証明の核心は「 をかける操作が の置換になる」こと
代数的には のラグランジュの定理
が逆元になるのはフェルマーの小定理の直接的帰結
一般化がオイラーの定理で,RSA 暗号の理論的基盤です
次の記事では,連立合同式を「合体」する魔法 ― 中国剰余定理に迫ります.