定理環境マスター ― theorem, definition, proof とその仲間たち
Folioに組み込まれた18種以上の定理環境を完全ガイド.theorem,definition,proof,lemma,corollary,example,remark 等の使い方,番号付け,名前引数,italic/roman体の区別を解説する.
1 定理環境の基本
Folioでは amsthm パッケージ相当の定理環境が組み込み済みである.\newtheorem を書く必要はない.
基本構文:
\begin{theorem}[フェルマーの小定理]
$p$ を素数,$\gcd(a, p) = 1$ とする.
このとき $a^{p-1} \equiv 1 \pmod{p}$ が成り立つ.
\end{theorem}
表示結果:
2 すべての定理環境一覧
Folioでは以下の環境が使える.自動的に通し番号が振られる(proof を除く).
2.1 定理系(本文イタリック体)
定理的な主張を述べるための環境.本文がイタリック体で表示される:
theorem 環境の表示例.任意の素数 と なる整数 に対して, が成り立つ. lemma 環境の表示例. が合成数ならば, は 以下の素因数をもつ. proposition 環境の表示例.連続関数の合成は連続である. corollary 環境の表示例.有限群の位数は各元の位数で割り切れる. claim 環境の表示例.この構成は一意である. fact 環境の表示例. は超越数である. hypothesis 環境の表示例. である. 2.2 定義系(本文ローマン体)
定義や例示のための環境.本文がローマン(直立)体で表示される:
definition 環境の表示例.群 の部分集合 が部分群であるとは, 自身が の演算で群をなすことをいう. example 環境の表示例. において の位数は である. remark 環境の表示例.この定理の逆は一般には成り立たない. note 環境の表示例.以降,特に断らない限り環は可換環とする. exercise 環境の表示例. のSylow -部分群をすべて求めよ. problem 環境の表示例. を証明せよ. assumption 環境の表示例. は区間 上で連続とする. observation 環境の表示例.行列式は行の入れ替えで符号が変わる. question 環境の表示例.任意の偶数は2つの素数の和で表せるか? solution 環境の表示例. を代入すると である. answer 環境の表示例.求める場合の数は 通りである. □2.3 証明環境
proof 環境は番号が振られず,末尾にQED記号()が自動で付く:
名前付きの証明も書ける:
\begin{proof}[定理1.1の証明] のように名前を指定できる. □
3 環境一覧表
| 環境名 | 日本語表示 | 本文スタイル | 番号 |
theorem |
定理 | イタリック | あり |
lemma |
補題 | イタリック | あり |
proposition |
命題 | イタリック | あり |
corollary |
系 | イタリック | あり |
claim |
主張 | イタリック | あり |
fact |
事実 | イタリック | あり |
hypothesis |
仮説 | イタリック | あり |
definition |
定義 | ローマン | あり |
example |
例 | ローマン | あり |
remark |
注意 | ローマン | あり |
note |
ノート | ローマン | あり |
exercise |
演習 | ローマン | あり |
problem |
問題 | ローマン | あり |
assumption |
仮定 | ローマン | あり |
observation |
観察 | ローマン | あり |
question |
疑問 | ローマン | あり |
solution |
解答 | ローマン | あり |
answer |
回答 | ローマン | あり |
proof |
証明 | ローマン | なし |
4 相互参照との組み合わせ
定理環境に \label を付けて \ref で参照できる:
\begin{theorem}[ラグランジュの定理]
\label{thm:lagrange}
有限群 $G$ の部分群 $H$ に対して,$|H|$ は $|G|$ を割り切る.
\end{theorem}
定理 \ref{thm:lagrange} より...
定理 21 より,位数の群の部分群の位数はのいずれかである.
5 まとめ
Folioの定理環境は amsthm 相当の機能を設定なしで使える.19種の環境を使い分けることで,数学的議論の構造を明確に表現できる.次回はコードブロックとアルゴリズムの書き方を見ていく.