母関数 I(通常型)― 数列を多項式で扱う
通常型母関数(OGF)の定義から積と畳み込みの関係,フィボナッチ数のBinet公式の導出,カタラン数・分割数の母関数を扱う.
1 通常型母関数の定義
定義 1 (通常型母関数).
数列 に対して,形式的べき級数
を の通常型母関数(ordinary generating function, OGF)という.
注意 2.
母関数は「形式的」べき級数であり, に具体的な値を代入する必要はない.収束性は問わず,係数の代数的操作に意味がある.ただし,具体的な公式の導出に解析的議論を用いることもある.
例 3.
()の OGF は である. の OGF は である.
2 積と畳み込み
定理 4.
数列 , の OGF をそれぞれ , とする.積 の係数 は
で与えられる.これを と の畳み込み(convolution)という.
証明.
形式的べき級数の積の定義そのものである. である. □
3 フィボナッチ数と Binet の公式
定義 5 (フィボナッチ数列).
,,()で定まる数列をフィボナッチ数列という.
定理 6 (Binet の公式).
ここで , である.
証明.
とおく.漸化式 の両辺に を掛けて で和をとると
整理して より .部分分数分解を行う. であるから
より が得られる. □
4 カタラン数の母関数
定義 7 (カタラン数).
()を第 カタラン数という.
定理 8.
カタラン数の OGF は
で与えられる.
証明.
カタラン数は漸化式 (,)を満たす.これは と書ける.二次方程式 を解いて . の条件から 符号を選ぶ. □
5 分割数の母関数
定義 9 (分割数).
非負整数 を正整数の和として表す方法(順序を問わない)の数を分割数 という.
定理 10 (Euler の分割数の母関数).
証明.
各正整数 を何個使うかを考える. を 回使うことは に対応し,
である.すべての にわたる積をとると, の係数は を正整数の和に分割する方法の数 に等しい. □
注意 11.
分割数の漸化式は Euler の五角数定理 から導かれる.