合同式の応用と剰余類の群構造 ― $(\mathbb{Z}/n\mathbb{Z})^*$ の構造
既約剰余類群$(\mathbb{Z}/n\mathbb{Z})^*$の構造を解明する.オイラー関数$\varphi(n)$の計算公式を導出し,フェルマーの小定理,オイラーの定理,ウィルソンの定理を証明する.元の位数と原始根の存在条件を議論する.
1 既約剰余類群
定義 1 (既約剰余類群).
正整数 に対して, を満たす剰余類 全体の集合を と書く.これは乗法に関して群をなし,既約剰余類群(group of units)という.
証明.
閉性: かつ ならば ( かつ ならば または で矛盾).結合性:整数の乗法から継承.単位元:.逆元: よりベズーの等式から ,すなわち , が の逆元. □
2 オイラー関数
定義 2 (オイラー関数).
正整数 に対して ,すなわち で なる の個数をオイラー関数(Euler's totient function)という.
定理 3 (オイラー関数の計算公式).
のとき
証明.
を示す. から までの整数のうち の倍数は の 個なので .一般の に対しては中国剰余定理(第6回参照)による から の乗法性が従い,公式が得られる. □
3 フェルマーの小定理とオイラーの定理
定理 4 (オイラーの定理).
ならば .
証明.
とおく. のとき写像 は の全単射( が可逆だから)である.したがって ,すなわち . は可逆なので両辺を割って . □
系 5 (フェルマーの小定理).
素数 と なる整数 に対して .
証明.
をオイラーの定理に適用する. □
4 ウィルソンの定理
定理 6 (ウィルソンの定理).
が素数であるための必要十分条件は .
証明.
は体なので の解は のみ. の元のうち自分自身が逆元であるのは と のみで,残りは なる対をなす.よって . が合成数のとき でないことを示す.()とする. ならば はともに の因子であり となるので . ならば で より なので と がともに因子として現れ同様. □
5 元の位数
定義 7 (位数).
のとき, を満たす最小の正整数 を の を法とする位数(order)といい, と書く.
定理 8.
ならば .特に .
証明.
()とすると . と位数の最小性より . □