バーンサイドの補題とポリアの数え上げ定理 ― 対称性を考慮した数え上げ
群作用・軌道・固定部分群の定義からバーンサイドの補題を証明し,巡回指標を定義してポリアの定理を導く.ネックレス・ブレスレットの数え上げに応用する.
1 群作用・軌道・安定化群
定義 1 (群作用).
群 が集合 に作用する(act on)とは,写像 ()が
( は単位元,),
(,)
定義 2 (軌道・安定化群).
の軌道(orbit)とは である. の安定化群(stabilizer)とは である.
定理 3 (軌道・安定化群定理).
証明.
写像 は から への全単射である. であるから well-defined かつ単射.全射は明らか. □
定義 4 (固定点集合).
に対して を の固定点集合という.
2 バーンサイドの補題
定理 5 (バーンサイドの補題(Cauchy–Frobenius の定理)).
有限群 が有限集合 に作用するとき,軌道の個数 は
で与えられる.
証明.
集合 の元の数を2通りに数える. を固定して和をとると . を固定して和をとると .軌道・安定化群定理より であるから,
同じ軌道 に属する 個の元はそれぞれ を寄与するので,各軌道の寄与は .よって .以上より ,すなわち . □
3 巡回指標
定義 6 (巡回指標).
有限群 が集合 に作用するとき, を置換と見なし,その巡回分解における長さ の巡回の個数を とする. の巡回指標(cycle index)を
で定める.
4 ポリアの数え上げ定理
定理 7 (P\'olya の数え上げ定理).
個の位置に 種類の色を塗る配色のうち,群 の作用で同一視したものの個数は
で与えられる.より一般に,重み付き母関数は
で得られる.ここで は各色に対応する重みである.
証明.
バーンサイドの補題より軌道数は . の巡回分解が長さ の巡回からなるとき, で固定される彩色の数は各巡回内で同色であることから である(巡回の個数の和は巡回分解の巡回総数).これを として巡回指標に代入した結果に等しい. □
5 応用:ネックレスとブレスレット
例 8 (ネックレスの数え上げ).
個のビーズからなるネックレスに 色を塗る場合を考える.回転のみで同一視する場合,群は巡回群 であり,
を代入すれば,ネックレスの色分けの数 が得られる.
例 9 (ブレスレットの数え上げ).
裏返しも許す場合,群は二面体群 ()となる. が奇数のとき
が偶数のとき
と代入すればブレスレットの個数が得られる.