有限アーベル群の構造定理 ― 完全な分類
有限アーベル群が巡回群の直積に分解されることを証明します.素因子分解による一次分解,不変因子と単因子(初等因子)による二つの標準形,具体的な分類の手順を体系的に解説します.
1 目標
有限アーベル群の構造を完全に決定する.すなわち,任意の有限アーベル群は巡回群の直積と同型であることを示し,その分解が本質的に一意であることを証明する.
2 巡回群の基本性質
3 群の分解
この補題の証明はに関する帰納法による.核心は次の主張にある:
4 一次分解(成分分解)
5 有限アーベル群の基本定理
前節の結果を合わせると:
不変因子と単因子は相互に変換可能である.単因子を素数ごとにまとめ,各素数の冪を大きい順に並べて掛け合わせると不変因子が得られる.
6 一意性の証明
7 分類の実践
(単因子 ,不変因子 )
(単因子 ,不変因子 )
(単因子 ,不変因子 )
(不変因子 )
(不変因子 )
(不変因子 )
(不変因子 )
8 アーベル群の指数と階数
の指数(exponent): の元の位数の最小公倍数.不変因子形では (最大の不変因子).
の階数(rank):単因子分解における因子の個数.
9 まとめ
有限アーベル群は巡回群の直積に分解される(単因子形・不変因子形).
分解は一意的であり,有限アーベル群を完全に分類する.
分類は位数の素因数分解に帰着し,各素数べきごとの分割の組み合わせで列挙できる.
アーベル群論は「完成した」理論であり,非アーベル群の構造決定とは対照的である.